私たちは、脳で記憶します。脳は、大脳、小脳、脳幹という3つの部位からできていて、すべてが記憶には関与していますが、中でも大脳の奥の方にある大脳辺縁系、その中にある「海馬(かいば)」が記憶に関して重要な役割を持っています。海馬は、タツノオトシゴに形が似ているから、そう呼ばれています。記憶の司令塔と言われる場所で、日常の出来事や経験、勉強して得た情報は、まずここに一時保管されます。その後、必要な情報が大脳皮質に長期保存されるわけです。アルツハイマー型認知症で、最初にダメージを受けるのも海馬。記憶を一時保存できなくなってしまうので、長期保存されている昔のことは覚えているのに、直近のことが覚えられなくなってしまうわけです。
脳の海馬には、神経細胞(ニューロン)を新生する能力のある細胞が存在し、高齢者の脳でも神経細胞の新生(ニューロン新生)が行われていることが明らかにされました。
米コロンビア大学で神経生物学を教えるモーラ・ボルドリーニ准教授の発表によると「私たちが調べた最年少の人と最高齢の人のいずれにおいても、ニューロン前駆細胞(のちにニューロンになる細胞)や、まだ成長途中のニューロンが何千個と見つかった」と准教授はコロンビア大学の報道発表で述べている。英紙インディペンデントは、海馬のサイズも年齢による違いが見られなかったと伝えている。
ニューズウィーク日本版 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/post-9932.php
老齢マウス群に、ストレスを感じさせない程度の運動(ランニング)を短期間行わせると、海馬アストロサイト細胞のWnt3産生能が大幅に増加したことが確認され、この分泌されたWnt3の増加に伴って、それを受け取る神経幹細胞内の神経分化に必要な遺伝子が活性化され、神経新生機能が増すこと、すなわち海馬で新しく産み出される神経細胞の数が増加することが判明した。
マインドサイエンス http://www.mind-science.jp/pg186.html
まだまだ解明されていないことは多いですが、年齢にかかわらず、海馬での神経細胞が増え記憶力が上がる可能性があるということです。実際、認知症患者の症状改善例があることも事実。ただ、これが海馬のニューロンが増えたことによるものかは定かではありませんが。
でも、ですよ。年を取ったから記憶力は伸びない、と諦めて生きるより、「まだまだ伸びるよ。覚えられるよ」と言って積極的に行動する方が、楽しいに決まっているじゃないですか。
では、海馬の神経細胞を増やすには、どうすればいいのか。
まず、新しいことを学び続けることが大切です。常に脳に刺激を与えることです。
ランニング、ウォーキングのような適度な運動。バドミントンやテニス、卓球などでもいいです。激しい運動は必要ありません。
セックスは、エクササイズであると同時にオキシトシンという幸せホルモンを分泌させる効果もあります。脳に刺激を与え、血流が促進されますね。
ガムを噛むこともおすすめです。また、実験では硬い食べ物の方が柔らかい食べ物を食べるより、脳の神経細胞を増やしたそうです。
睡眠や充分な休養をとることも神経細胞を増やすことにつながります。
メグリスタアドバイザー 中俣拓哉